学会誌 文莫 第1号 (昭和51年8月発行)

文莫 第一号 表紙

本誌の名「文莫」の文字は、これを鈴木朖の筆なる扁額からとって、縦に置きかえたものである。この語は、『論語』述而篇の、「文莫吾猶人也」とある句中の「文莫」の二字を連語として解したことによるもので、その意味は、朖の著『論語参解』によれば、「黽勉ト同音ニテ、同シ詞ナリ、学問脩行ニ出精スル事也」という。あるいは彼の座右の銘ではなかったかと思われる。

 

 

 

 

目次
一、『言語四種論』の五本について・・・・・・・・・・・・・・・・・・三宅 武郎
二、鈴木朗による宣長・成章・両学派の合流・・・・・・・・・・・・・・水野  清
三、「鈴木朖学会」の設立について

一、『言語四種論』の五本について・・・・・三宅 武郎

はしがき
一 概観
二 前一本(活語トマリノモシノ説)について
三 第一本(信友本)について
四 第二本(神宮本)について
五 第三本(文政板本)について
六 第四本(柳園叢書本)について
あとがき

二、鈴木朗による宣長・成章・両学派の合流     
                 ・・・・・水野 清

はしがき
宣長・成章以前の活語研究
富士谷成章(ふじたになりあきら)の活用研究
『装図』の分析的手法
分析的手法の欠陥
「あゆひ」の独自な分析
装図の矛盾─引靡・靡伏・伏目・立本の処理─
『活用抄』への問題提起者『あゆひ抄』─とくに「目」と「来」─
補説─『紐鏡』と『あゆひ抄』─稿本『あゆひ抄』にふれて─
成章と係り結び・ほか
「装図」と『活用抄』
柴田常昭『詞づかひ抄』の特徴
『詞づかひ抄』
半令・シム・〜リナム
所属不明の古語および形容詞の処置
柴田常昭以後
鈴木朗と雅語訓読
朗の国語研究への出発
漢語学と朗の国語研究
朗に課せられる時代的使命
『紐鏡』補説としての『活用抄』
宣長的観点からの『あゆひ抄』の吸収
享和元年以前の『活語断続図説』
『断続図説』第一案と第二案
第八行(等)「シム・ス・サス」に続く形が第七等に入るまで
ナ行変格の発見と「段」の確立
『詞の八ちまた』と活用種類
『装図』の「目・靡伏・伏目」

朗による「目(めのまえ)」の整理
『断続図説』附録と「返しざま」の謎とき
一音節動詞「居(う)」補説
『断続図説』修正案と残された難点
『断続図説』と神宮本・柳園叢書本『活語断続譜』
『断続図説』第二行見出しの問題
「行=等」見出し対照表
『図説・断続譜』第四・七行(等)の問題
「言語四種別考」『言語四種論』におけるテニヲハの分類
『断続図説』『断続譜』における助動詞の活用研究テニオハ活用・対照表
〔付説〕「らく」について
○「ツ」の活用が23会から9会と決まるまでの経過
○「ム・ム・メ」を五会の格と決するまで
○「ズ」のウ韻と「形状の詞」のイ韻との矛盾
○「ズ」即ち「作用の詞」と捉えるまで

信友本『言語音声考』と平田篤胤
岡田(稔)本・信友本「音声考」と刊本との対照─大平証言
岡田本・信友本「言語音声考」と刊本『雅語音声考』との対照表
神宮本『断続譜』における「変格」の宣言と『八ちまた』
「活語トマリ文字ノ説」の内容
「活語トマリ文字ノ説」と朗の研究段階
「活語トマリ文字ノ説」成立の時点
「活用抄目録」の分類と「等(とおり)」
あとがき
活語断續圖説

三、「鈴木朖学会」の設立について

昭和50年6月7日、有志発起人による「鈴木朖記念研究会」が、ゆかりの「離屋会館」に於いておこなわれ、同日多数の賛同を得て新しく「鈴木朖学会」が設立された。

「文莫 第一号 後記」より

「鈴木朖学会」が発足(昭和50年6月)し、講演会なども行われるようになったので、機関誌(年刊)を発刊することにした。あたかも朖没後一四〇年にあたる。没後一〇〇年の折には「国漢研究」が特集号を出し、一三〇年の折には(鈴木朖)顕彰会が『鈴木朖』を刊行したことが思い出される。

                        昭和五十一年八月十五日 発行

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