学会誌 文莫 第9号 (昭和59年7月発行)

文莫 第九号 表紙

本誌の名「文莫」の文字は、これを鈴木朖の筆なる扁額からとって、縦に置きかえたものである。この語は、『論語』述而篇の、「文莫吾猶人也」とある句中の「文莫」の二字を連語として解したことによるもので、その意味は、朖の著『論語参解』によれば、「黽勉ト同音ニテ、同シ詞ナリ、学問脩行ニ出精スル事也」という。あるいは彼の座右の銘ではなかったかと思われる。

 

 

 

 

 

目次
一、鈴木俍氏の業績と人間性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・足立 巻一
二、鈴木朖と植松有信、茂岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・植松  茂
三、解題と翻刻
  三浦益徳稿『恊園叢書』所収本居宣長及び鈴木朖関係新資料・・・・鈴木  淳
四、離屋鈴木先生著『和訓集解』について・・・・・・・・・・・・・・尾崎 知光
五、復刻影印『改正讀書點例』
六、改正讀書點例について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・尾崎 知光
七、鈴木朖学会の十年

一、鈴木俍氏の業績と人間性・・・・・足立 巻一

二、鈴木朖と植松有信、茂岳・・・・・植松  茂

 鈴木朖と植松有信・茂岳父子との関係については未だ明かでない事が多い。特にその学問的な関連についてはまだこれを述べる用意がないので、ここには植松側の資料と『離屋詠草』(昭和五十九年刊行予定)を主な材料としてその関係を外面的に述べてみたい。

 朖と有信は本居宣長の門人であるが、入門の時期は有信が早く、寛政元年で、朖は三年後の同年四月であった。有信は朖の四才年長である。そして、有信は名古屋の鈴屋門の中心的な世話役であったらしく、又毎月歌会をも主催していた。

三、解題と翻刻 三浦益徳稿『恊園叢書』所収本居宣長
及び鈴木朖関係新資料
                ・・・・・鈴木  淳

 東北大学付属図書館の狩野文庫には、鈴木朖の門人三浦益徳の自筆稿本類を整理、編纂して『恊園叢書』と名付けた、計十九冊からなる叢書が存する。この叢書自体、これまで研究の俎上にのぼったことを聞かないが、そのうち第五冊には、本居宣長および鈴木朖等の、いずれも新出資料と目されるものが一括収録されており、注目に値する。

四、離屋鈴木先生著『和訓集解』について
                ・・・・・尾崎 知光

 東北大学付属図書館に、鈴木朖著の『和訓集解』なる書が蔵されている。この書は狩野享吉氏の旧蔵本である。ところが、鈴木朖の著書を記した目録類には、いづれもこの書をあげず、又、今まで朖の研究者達も誰一人この書に言及したものがない。ここに、ごく簡単にこの書について紹介し、これが如何なるものであるかについてものべたいと思ふ。

五、復刻影印『改正讀書點例』

六、改正讀書點例について・・・・・尾崎 知光

 鈴木朖の晩年の著述に『改正讀書點例』といふ書がある。これは天保七年に刊行されたと思はれる小冊であるが、現存するもの極めてまれで、国会図書館の亀田次郎氏旧蔵本の外、一、二が知られてゐるにすぎない。しかしその内容ははなはだ注目すべきもので、普通の漢学者とは違って国学、国語学に精通した異色の学者の面目を実によくあらはし、漢字漢文に対して、訓読する日本語の厳正な用法を論じた、学術的価値の高い好著である。

七、鈴木朖学会の十年

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