学会誌 文莫 第18号 (平成5年11月発行)

文莫 第十八号 表紙

本誌の名「文莫」の文字は、これを鈴木朖の筆なる扁額からとって、縦に置きかえたものである。この語は、『論語』述而篇の、「文莫吾猶人也」とある句中の「文莫」の二字を連語として解したことによるもので、その意味は、朖の著『論語参解』によれば、「黽勉ト同音ニテ、同シ詞ナリ、学問脩行ニ出精スル事也」という。あるいは彼の座右の銘ではなかったかと思われる。

 

 

 

 

 

目次
一、文化元年における石川雅望と鈴木朖の出会ひ・・・・・・・・・・・尾崎 知光
二、鈴木朖の訓読法について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・石川 洋子
三、宣長─朖における「自他」の系譜・・・・・・・・・・・・・・・・中村 朱美
四、鈴木朖の和歌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・簗瀬 一雄
五、大脇氏写本「活語トマリノモジノ説」・・・・・・・・・・・・・・尾崎 知光
六、山田良淳あて丹羽盤桓子書簡・・・・・・・・・・・・・・・・・・長島 弘明

一、文化元年における石川雅望と鈴木朖の出会ひ
・・・・・尾崎 知光

文化元年における
石川雅望と鈴木朖の出会ひ

 はたして鈴木朖が享和三年から文化元年まで江戸に存在してゐたかといふことにも疑問をいだくやうになった。私は新出の中山清寬の日記によって、享和三年には鈴木朖は名古屋に在ったことを立証したのである。そして朖が名古屋に在ったか、不在であったかは、著書の制作には直接関係づけるほどの力のないものであったことをも示したのである。

 今回、ここに紹介しようとするのは、石川雅望との接触の資料である。石川雅望との関係については、「詠草一」に 石川雅望におくるふみ (略) といふ文章がみられる。

 ところが、石川雅望との関係を示す資料は別に存する。石川雅望が文化元年に旅した紀行文『くさまくら』によって、この年、尾張に来て鈴木朖と会ったことが年譜の形式で記されてゐる。

      『くさまくら』参考とすべき記事は二十一日から二十五日まで

     石川雅望 『草まくら』(刈谷中央図書館本による引用部分のコピー)

二、鈴木朖の訓読法について・・・・・石川 洋子

鈴木朖の訓読法について

 鈴木朖は漢学、国語学、国文学などに通じた多才な人物である。この論文は、その多才な人物の考へた訓読法について考察するものである。鈴木朖の訓読法の内「敬語法」については既に論じたことがあるので、本稿ではそれ以外の訓読法について考察するものである。

一 はじめに

二 鈴木朖の訓読法について

  二−一 『大學參解』・『論語參解』の注釈はなぜ和文で書かれたのか

  二−二 鈴木朖の訓読法についての先学の研究

  二−三 『論語參解』の訓読法の特徴

        敬語法、句読・返り点、字訓・併字音、補読語、その他

三 終はりに

鈴木朖の訓読法について

三、宣長─朖における「自他」の系譜・・・・中村 朱美

宣長─朖における「自他」の系譜

 本稿では、朖の国語研究の中でも、従来、あまり注目されることのない、いや、むしろ、朖自身が多くを語っていないのであり、その言及自体にも紆余曲折のある、「自他論」を取り上げてみたい。

はじめに

一 国語における「自他」認識のはじまり

 (1)『一歩』における「自他」

 (2)富士谷成章の「自他」・「表」と「裏」

二 本居宣長における「自他論」の展開

 (1)『てにをはひも鏡』

 (2)『詞玉緒』と『玉あられ』

三 鈴木朖における「自他論」

 (1)『御国詞活用抄』の訂補

 (2)宣長の「自他」語例との比較

 (3)「自然(ジネン)」と「使然(シネン)」

むすび

宣長─朖における「自他」の系譜

四、鈴木朖の和歌─「離屋詠草」の鑑賞と批評─
                ・・・・・簗瀬 一雄

鈴木朖の和歌
─「離屋詠草」の鑑賞と批評─

 『離屋詠草』については、上巻の巻頭にある植松氏の解説と、「文莫」第十五号の小瀬さんの「離屋詠草概観」とがあるので、詳しくはそれにゆずり、ここには、これを使用して、朖の和歌作品をとりあげ、鑑賞と批評をしてみる必要から、ごく概略について抄記する。

五、大脇氏写本「活語トマリノモジノ説」
                ・・・・・尾崎 知光

 

大脇氏写本
「活語トマリノモジノ説」

 三宅(武郎)氏の右の論文(「文莫」第一号所載)や、当時市橋(鐸)氏から語られた話しを伝へ聞いてゐた我々は、大脇本の出現は殆ど絶望的と信じてゐた。

 ところが、昭和五十三年八月に、突然、市橋鐸氏から葉書と封筒とが送られてきた。

 別封にて「活語トマリ文字ノ説」贈呈いたしました

これは全くの驚きであった。前にのべたやうに我々の間では大脇本は所在不明であり、しかもそれが出現することは絶望的と考へられてゐたからである。

         大脇氏写本 「活語トマリノモジノ説」原稿

六、山田良淳あて丹羽盤桓子書簡・・・・・長島 弘明

 

山田良淳あて丹羽盤桓子書簡

 離屋会館に新たに収蔵された、丹羽盤桓子の山田良淳あての手紙を紹介する。当初、山田良淳の何人たるやを知らず、再報告の適任者であるとも思われぬが、鈴木朖学会で講演をし、また、最初の紹介者である名古屋手紙の会の一員であったことをもって、報告を御引き受けした。

山田良淳あて丹羽盤桓子書簡

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