資料・刊行物のご紹介

資料・刊行物のご紹介をします。

『鈴木朖』(昭和42年刊)に掲載されている年譜に加えて、150年忌(昭和62年、熱田神宮での催し)、170年記念(平成19年、名古屋市博物館)を行った際に作成された年譜などを総合的にまとめたものです。

これにより朖の人生、著作等が一覧できるものになっています。鈴木朖の生涯について大まかな出来事や著作の作成時期が分かります。

また、妻や家族との関わり、本居宣長や大平・春庭との交流・門弟や知人との勉学の軌跡なども付記し、朖の全体像を俯瞰できます。

この書は鈴木朖没後百卅年忌を記念して出版された。鈴木朖を捉える上で、まずは最初に目を通すべき書籍である。

高木市之助、時枝誠記両先生の序に始まり、岡田稔先生の「伝記と論考」、市橋鐸先生の「資料」と続き、朖の「国語学の三部作」である活語断続譜、言語四種論、雅語音声考を翻刻した。

本書は朖の学問観を述べた著書「離屋学訓」を杉浦豊治先生が釋を附した本である。

「離屋学訓」の翻刻、杉浦先生による附釋および手書きによる答客問の本文と読み下し文となっている。本の後半は、杉浦先生の朖に対する論評である「人と学問」が掲載されている。

鈴木朖を理解する上に、どうしても目を通していかなければならない一冊で、また杉浦先生の朖に対する「憧れ」を深く感じます。

 

この書は鈴木朖の国語学の中心となった著作で、しかも稀有の幸によって焼失をまぬかれ、今日に伝へられてゐるものである。

実に、本書の刊行は、著者鈴木朖にはじまって、代々の尾張の国学者の悲願であったわけである。

この書は若き日、朖が人に書写させ、彼の活語研究の出発点となったものであるが、それがさらに一時、本居大平や春庭その他の人の手許にも貸し出され、のち長年にわたって朖の補訂をへて、植松茂岳によっても整理され、愛弟子栗田直政に譲られるといふ、我が国の活語研究に大きな役割をはたした、意義深い、貴重な文献である。

これは鈴木朖が大学と論語の注釈書として書かれた版本をそのまま影印している。

大学、論語の本文に朖が返り点等を付け、一語一語に註釈を施している。当然江戸時代の日本語ではあり、多少なりとも現代人には読みづらいかもしれないが、朖の息遣いを感じることができる。

論語参解は版本では五冊に分かれているが、本書にはすべてが入っている。論語については現代でも各地で多くの勉強会などが開催されているが、朖は独自の解釈を多々行っていて、論語を多角的に理解する助けとなろう。

植松茂先生の解説より(抜粋)

ここに活字翻刻する『離屋詠草』の原本は離屋会館に所蔵される写真版三十二冊のものである。内容はすべて鈴木朖自筆の詠草と考えられる。詠歌は継続して朖の死(六月六日)の前月に至っている。この詠草の多くは諸々の歌会の兼題・当座の歌として詠まれたものであるが、これに訂正の加えられている場合が多い。この訂正は朖自身の手によるものであろうが、本居春庭・同大平に添削を乞うたものも多く、その添削に従って訂正したものとの区別はつきにくい。本書の存在は関係者の間では既に広く知られており、昭和四十二年刊行の『鈴木朖』にも利用されているようであるが、複刻の運びに至らなかった。印刷原稿の作成を小瀬園子氏に依頼し、翻刻の形式などについても同氏と相談を進め、一方では昨年の「鈴木朖学会」で、本書の一部を利用して「鈴木朖と植松有信・茂岳」と題する講演を行った。 学会役員諸氏の御協力によって本書を刊行することができるのは誠に感銘深いことである。
昭和五十九年四月

あとがき(抜粋)

本書は離屋会館に所蔵せられる写真版によって翻刻したのであるが、上巻発刊後にこの書の原本の現在の所蔵者が名古屋市在住の文学博士T氏であること、そこで早速T氏の御許可を得て写真版による原稿の不審な点などをその原本によって照合することができたのは誠に幸いなことであった。残念なことに編者二人の不注意によって上巻に多くの誤植を残してしまったが、今となっては正誤表によって読者に正して頂くほかはなく、深くおわびする次第である。本書のよみ方には「りおくえいそう」「はなれやえいそう」の二通りが考えられるが、『国書総目録』に従って「はんれやえいそう」とよむことにしておきたい。上巻に引続き微力の編者に万事をお任せ下さった鈴木朖学会役員諸氏に深い感謝を捧げたい。
昭和六十一年正月  植松 茂 小瀬園子

鈴木朖の漢文集には『離屋集初編』があるが、それに収められなかった文集も数多く存在する。それらの中には、漢文学の造詣をこめた、高度の思想的内容の評論もあるが、一方では日常の雑記を自然な筆致でしるしたものも多く、そうした諸文は彼の生活や、身辺、交遊、家系などを知る上での好資料である。

鈴木朖百五十年記念出版として『鈴木朖逸文集』を複刻刊行することを計画した際に、右の事情を考慮にいれ、市橋(鐸)主任を中心として、最初に原資料を解読し、大脇鉄三郎氏が苦心復元し、さらに漢学に造詣の深かった伊藤加七氏が訓点を増補点検し、覚書きの注を欄外に記した第一次草稿本をもとにし、これを更に整理編集して、後世に残すことにした。(「はしがき」より抜粋)

鈴木朖著『源氏物語玉小櫛補遺』(上下二冊、文政四年刊)の影印と翻刻を刊行する。本書は、源氏物語の注釈として、特に本居宣長の『玉小櫛』との関連で有名であるが、「はなれや蔵板」であるためか、刊本は極めて少なく、現在では入手はすこぶる困難である。

宣長の門人中で、名著『玉小櫛』に対して、正面から堂々と対したものは外にない。本書の研究が重要で、ここにとりあえずその全姿を示すことにした。(前書より)

鈴木朖の『離屋集初編』の後刷一冊本の影印と、それに対する訳注(杉浦豊治先生、鵜飼尚代先生による)とを収めた。呉銭泳による序に続き、朖自身による自序、堀田中倫による序言となる。尚志論を始め四十七編が収められている。
註釈は鵜飼先生が懇切丁寧を極めたものとなっている。多種多様な文章(漢文が主)は広い分野に渡り、朖の多才さを物語っている。

朖の命日(旧暦6月6日)にちなみ、昭和49年から毎年6月に鈴木朖学会講演会を開催しておりました。それらの講演会での諸先生方の講演記録を掲載しています。加えて朖の著作や関係論文の影印も入っております。

また、その他に研究された投稿論文等も掲載されています。内容の一覧を付しているので、ご興味のある号をお分けします。

鈴木朖の著作や研究について諸氏がお話しになった内容は、国語学を研究されている方々にはお役に立つことと存じます。また朖の人と為りについての面白いエピソードもあり、親しみが増します。

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